COLUMN
Vol.01 人は場所とつながる。
ふるさとや思い出の場所に立った時、感情がこみ上げる。人は“人との関係” だけでなく、“場所との関係” においてもつながりを感じる、情緒豊かに生きるドラマティックな生き物だと思う。
みんなで笑いあって、楽しく過ごしたい時
夫婦ふたりや、こどもと大事な話をしたいとき
悲しくて泣きたくて、雨を見ながらしっとりと過ごしたいとき
悔しい思いをして一人になりたいとき
みんなでいたい時も、一人になりたい時も、その時の感情と場所は無意識に繋がっていると思う。人は無意識にその時々で場所を選んで過ごしている。しっとりとした肌触りの椅子、そっと吹く風にのった雨の匂いや庭先の雨音など、その時の感情と身体感覚にぴったりと呼応する場所がきっと“居心地のいい場所” なんだと思う。
Vol.02 人と人との距離感。
人は他人との距離感によって、快・不快を感じる生き物で、その距離感は常に変化している。親しい人と過ごす距離感と全くの他人との距離感はちがう。社会生活を送る中で、人は無意識に他人とのテリトリーの見えない線を引いている。親しい人であっても、くっつきたい時もあれば離れたい時もある。その時々の気持ちのありようでその距離は変化する。人はお互いにその距離感とともに気配を感じ取って過ごしている。互いの視界の隅に相手を置きながら、「近くにいてくれている」という“安心感”や、時には緊張を感じる生き物だと思う。アットホームな宴会と、ドレスアップした食事会での隣の人との距離は違う。人はその親密度合いで無意識に距離を変えているし、偶然生まれた距離感によって気持ちが変わることもある。
Vol.03 人はそこに心を置く
自分の部屋であったり、職場の自分の机であったり、人は、自分の場所があることで” 落ち着き、安心する“生き物だと思う。ある時、そこに誰かがいたら“不安” になる。人は他人の場所に入る時も、躊躇する。無意識にその場所の主の心を感じ取っていると思う。